ギャッベは一括りにされがちですが、織りの細かさやデザインの精巧さにより、いくつかのランク(等級)に分類されます。
高級なギャッベとは、織り密度(織り目の細かさ)が非常に高く、上質な羊毛を用い、本場イランの熟練職人が手織りした絨毯を指します。織り目が細かいほど模様が緻密に表現され、美しい光沢となめらかな手触りが生まれます。特に織りが細かい「カシュクリ」は、ギャッベの中でも最高級ランクに位置付けられます。
ギャッベは織りの密度によって、「普通のギャッベ」<「アマレ」<「カシュクリ」の順で分類されます。織り密度が高いほど結び目が多く、細やかな文様を織り込むことが可能です。たとえば、カシュクリでは、通常のギャッベの2〜3倍の細かさで織られており、一本取りの細い糸を用いて緻密に仕上げられます。織りが細かい分、制作に時間がかかるため価格も上がり、密に織られた絨毯ほど高品質と評価されます。
ギャッベには100%天然の羊毛が使われ、伝統的な草木染めで色付けされています。最高級品には、特に質の高いイラン在来種の羊毛糸が使用され、光沢と耐久性に優れています。草木染めによる色合いには、化学染料にはない深みがあり、長年の使用でも色褪せにくいとされています。
本物のギャッベは、イラン南部のカシュガイ族などの遊牧民によって伝統技法で手織りされています。職人が一本ずつ結び目を作りながら織り上げるため、非常に手間がかかりますが、その分ほつれにくく、丈夫で長持ちします。近年では、インドや中国などで模倣された「コピーギャッベ」も流通していますが、これらは機械織りや簡易な手織機による大量生産品であり、本場の品質には及びません。伝統技法で織られたイラン産のギャッベこそが、真に価値のある逸品とされています。