トライバルラグの歴史は、中央アジアや中東の遊牧民が何千年も前から受け継いできた伝統的な織りの技術に由来します。
「トライバル（tribal）」とは、英語で「部族の」という意味です。

トライバルラグとは、イランやパキスタン、アフガニスタン、トルコなどに暮らす遊牧部族が手織りする絨毯の総称です。

その起源は古代にさかのぼり、紀元前5世紀ごろに作られた「パジリク絨毯」（シベリアのスキタイ人の墳墓から出土）は、現存する世界最古の絨毯として知られています。

トライバルラグは、遊牧民の生活に欠かせない実用品として使われてきました。たとえば、テントの敷物や寒さをしのぐための布として活用されていました。

部族の織り手たちは、伝統的な文様を世代を超えて守りながら、自らの生活のために絨毯を織り続けてきました。

各部族によって織り柄や色彩の特徴は異なり、絨毯の名称も部族名や産地名に由来しています。

特に、トルクメン族の絨毯織りには長い歴史があり、「ギュル」と呼ばれる八角形の紋章をあしらった赤系統の幾何学模様で知られています。

このようなトライバルラグは、文化的価値と卓越した職人技によって高く評価されています。

各部族の織りの伝統は、現代にも引き継がれています。2019年には、トルクメン族の絨毯製作技術がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界的にもその価値が認められました。

現在でも、エスニックな雰囲気を持つトライバルラグは、インテリアアイテムとして人気があります。