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絨毯辞典

手織り絨毯の歴史は古く、現存する最古級の例として、紀元前5世紀頃のものとされる「パジリク絨毯」(現・シベリア南部)が知られています。その起源や系譜には諸説ありますが、すでに高度な織技と装飾性が見てとれます。

厳しい自然環境の中で育まれたこの手仕事は、住まいを彩り、祈りや暮らしに寄り添う存在として人々を魅了してきました。長い年月を経て技術は洗練され、今日では「伝統」「持続可能性」「職人技」を象徴する文化として、世界各地で受け継がれています。一枚一枚に織り手の経験や地域の風土が織り込まれ、同じものは二つと存在しません。

この「絨毯辞典」では、ペルシャをはじめとする手織り絨毯の産地・技法・文様をご紹介します。SATHIでは、こうした伝統を受け継ぐ“いま織られた”一枚を、横浜元町の店舗とオンラインでご紹介しています。

産地

手織り絨毯のデザインや名前は、地域や国の文化や歴史に深く根ざしています。SATHIではイラン(旧ペルシャ)・パキスタン・アフガニスタンを中心に、トルコ・モロッコの手織り絨毯もお取り扱いしています。下記の産地ガイドから、それぞれの個性をご覧いただけます。

産地ガイド — 世界の手織り絨毯

同じ「ペルシャ絨毯」でも、産地ごとに織り・色・文様の個性は大きく異なります。気になる産地から、詳しい解説ページへどうぞ。

絨毯の種類

手織り絨毯には、織りの構造や用途によってさまざまな種類があります。

そのほかの種類

毛足のあるパイル絨毯(ギャッベなど)と、毛足のない平織りのキリムが大きな2分類です。アフガン産のスマックは色糸を巻いて柄を浮かせる、立体的で厚みのある織りです。

技法ガイド — 結び・密度・素材・染め

一枚のペルシャ絨毯は、結びの種類・織りの密度・素材・染めの掛け合わせで表情が決まります。商品ページの言葉をより深く味わうための基礎用語をまとめました。

ペルシャ結び(非対称結び)

一本の経糸にパイル糸を絡める結び方で、セーナ結びとも呼ばれます。曲線をなめらかに描けるため、花やメダリオンの優雅な図柄を得意とします。イスファハンクム(Qum)など、繊細な意匠の産地に多く見られます。

トルコ結び(対称結び)

二本の経糸にまたいで結ぶ方法で、ギョルデース結びとも呼ばれます。きりりと締まり、直線的な幾何学模様と相性が良いのが特徴です。タブリーズ以西やコーカサス圏の意匠に多く用いられます。

ノット密度(ラジ/サタイ)

一定の幅に結び目がどれだけ並ぶかを示す指標で、数値が大きいほど目が細かくなります。ラジはタブリーズで使われ7cm幅のノット列数を、サタイはイスファハンで使われる単位です。密度は都市工房の精緻さを語る目安で、部族・ビレッジのトライバル絨毯は密度ではなく意匠・色・素材で価値を見ます。

素材(ウール/シルク/コットン経糸)

ウールは呼吸して湿気を調え、踏んでも戻る弾力と深い発色を持つ主役の素材です。シルク(絹)は光を受けて和らかに輝き、しなやかな手触りと退色しにくい強さが魅力。土台となるコットン(綿)の経糸は寸法を安定させ、形を長く保ちます。

シルクタッチ(絹のような光沢のウール)

シルクタッチはウールの一種です。ウールを丁寧に処理・ブラッシングして、絹のような光沢と柔らかく厚いパイルを引き出したもので、絹(シルク)ではありません。パキスタン絨毯のジャルダールなどで見られる、しっとりと艶めくウールの質感を指します。

グレード「ファイン」

織りの細かさや仕立ての精度が高い、上質な一枚を表すグレードです。撚りの本数が少ないほど目が細かくなり、こうした緻密な織りがファインと呼ばれます。ナインなど都市工房の精緻な絨毯で用いられる呼称です。

天然染料

赤は茜やコチニール、黄は飛燕草やウコン、青は希少な藍を染め重ねて生み出します。精錬・染色・洗いを経て染めだけで一週間以上を要します。天然由来の色は深みがあり、暮らしのなかで使い込むほど足もとに色が馴染んでいきます。

ペルシャ絨毯の文様辞典

ペルシャ絨毯に織り込まれる代表的な文様を、形と意味の両面からやさしく解説します。一枚を選ぶとき、構図やモチーフの名前を知っておくと見方がぐっと広がります。

メダリオン

絨毯の中央に大きな円形や楕円形を据える、最も親しまれた構図です。写本装丁の意匠から発展し、サファヴィー朝期に絨毯の中心構図として広まったとされます。四隅にコーナー文様を添えた「メダリオン・コーナー」が代表的な形です。

ヘラティ(マヒ)

小さな魚を思わせる形が連続する、上品な総柄文様です。「マヒ」はペルシャ語で魚を意味します。家庭の平和と幸福を象徴するとされ、タブリーズやビジャーなどで好んで織られます。

ボテ(ペイズリー)

先端がくるりと曲がった勾玉形のモチーフで、英語ではペイズリーと呼ばれます。一面に敷き詰めたり、ボーダーに連ねたりと用い方はさまざま。起源にはイラン説・カシミール説など諸説あり、ここでは断定しません。上向きにとがる糸杉とは別の文様です。

ゴル(ギュル)

菱形をした紋章的なモチーフで、トルクメン系の絨毯に多く見られます。部族ごとに固有の形があり、部族のしるしとして織り継がれてきました。力強い赤地に映える、幾何学的な味わいが魅力です。

生命の樹/糸杉

枝葉を豊かに茂らせた樹木を描く文様で、生命・豊穣・長寿といった願いが込められます。すらりと上向きにとがる糸杉も生命の樹の一種として表され、勾玉形のボテとは姿が異なります。

ボーダー(縁取り)

フィールド(中地)を囲む帯状の枠で、絨毯全体を引き締める役割を担います。かに文やS字文、走る犬など連続するモチーフで構成され、太い主ボーダーと細い副ボーダーを組み合わせるのが一般的です。

絨毯は、実際に見て・触れて・お部屋に合わせて選ぶのがいちばんです。横浜元町の店舗では、ここでご紹介した産地・種類の一枚一枚を、スタッフがお部屋のイメージに合わせてご案内しています。

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