ギャッベには、大きく分けて手織りの本物と機械で作られたものがあります。見た目がよく似ているため違いが分かりにくいのですが、作り方や素材、使い続けたときの風合いにははっきりとした差があります。
近年は「ギャッベ」という名前だけが広まり、本来の意味とは異なる商品も多く見られるようになりました。ここでは、実店舗で長年ギャッベを扱ってきた立場から、本物と偽物の違いを分かりやすくお伝えします。
ギャッベの偽物が出回る理由
ギャッベはもともと、イラン南西部の遊牧民が自分たちの生活のために織ってきた手織りの絨毯です。しかし日本で人気が高まるにつれ、その名前だけが独り歩きするようになりました。
現在は、ギャッベ風のデザインを機械で織ったラグや、短期間で大量生産された商品も「ギャッベ」として販売されることがあります。価格の安さや見た目の分かりやすさから選ばれやすい一方で、本来のギャッベが持つ背景や価値が伝わりにくくなっているのが実情です。
機械織りと手織りギャッベの根本的な違い
機械織りのラグは、均一な糸を使い、同じ柄を正確に再現できます。そのため形や模様が整い、遠目にはきれいに見えますが、使い込んだときの風合いの変化はあまり期待できません。
一方、手織りのギャッベは、職人が一目ずつ結びながら織り上げています。羊毛の状態や染料の入り方、そのときの感覚によって、色や厚みに自然な違いが生まれます。この不均一さこそが、長く使うほどに味わいとなって表れてきます。
本物の手織りギャッベに見られる具体的な特徴
- 裏面を見ると、結び目が完全にはそろっていません。これは手で一目ずつ結んでいる証で、機械織りのような規則正しさはありません。
- 糸には手紡ぎの羊毛が使われており、太さに自然なムラがあります。触れるとやわらかさと同時に、しっかりとしたコシを感じられます。
- 厚みがあり、踏み込むとふんわりと沈み込む感触があります。硬すぎず、日常使いでも疲れにくいのが特徴です。
- 草木染めを中心とした色合いには、濃淡や揺らぎがあります。均一ではないため、光の当たり方によって表情が変わります。
- 形や模様にわずかな歪みや左右差が見られることがありますが、これは不良ではなく手仕事ならではの個性です。