トライバルラグ(部族絨毯)のトルクメンとは、中央アジアのトルクメン族が伝統的に織る手織り絨毯のことです。トルクメン族は中央アジアの遊牧民族で、現在のトルクメニスタンやアフガニスタン周辺にまたがって暮らしてきた民族です。
トルクメン絨毯の織りの伝統は、何世紀にもわたり受け継がれてきました。トルクメン絨毯は遊牧民の生活の中で実用品として織られてきました。テントの敷物や壁掛け、荷物袋など、さまざまな用途に使われてきました。古くは地元の羊毛と植物由来の天然染料のみを用いて織られていました。
19世紀には、交易都市ブハラ(現ウズベキスタン)を通じて、西洋にも知られるようになりました。トルクメン絨毯の伝統的な製作技術は、2019年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
トルクメン絨毯の一部には、深紅の地にギュルなどの幾何学模様が織り込まれています。色彩や模様にも独特の特徴があり、深みのある赤色や茶色を基調とした配色が多く見られます。また、ギュルと呼ばれる八角形の部族紋様を中心にした幾何学模様が織り込まれています。ギュルとは、各部族の紋章のようなモチーフであり、その色彩やデザインは、織り手や部族によって異なります。
トルクメン族の絨毯織りの技術は非常に高い水準にあります。細部まで手作業で織られるため、丈夫で美しい仕上がりとなります。その品質と伝統美は、世界中の絨毯愛好家に高く評価されています。トルクメニスタンの国旗には、5つの主要なトルクメン絨毯の模様が描かれており、トルクメン絨毯は国の象徴ともなっています。
