結論から言うと、ギャッベが高いのは「素材と染色の手間」「手織りの時間と技術」「輸入・流通コスト」「希少性」という複数の要因が重なるためです。ギャッベはイラン南部の遊牧民によって織られる手織り絨毯で、独特の温もりと耐久性を持ちます。ここでは、その価値と価格の理由を詳しく解説します。
素材と染色の手間
ギャッベは良質な羊毛から作られます。特に油分が多く長い繊維を持つ羊毛は、耐久性と光沢に優れています。しかし、この羊毛自体が高価です。さらに、糸は手紡ぎで作られることが多く、時間と労力がかかります。
加えて、ギャッベに使われる染料は草木染めです。これは植物由来の天然染料を煮出し、乾燥を繰り返す方法で、色が定着するまで多くの工程が必要です。大量生産が難しいため、希少性が価格に反映されます。
手織り工程の時間と技術
ギャッベは「手結び」という技法で一本ずつ糸を結んで模様を表現します。ノット密度（1平方センチの結び目数）が高いほど時間もかかり、より高度な技術が求められます。
一枚を完成させるのに数か月から一年以上かかる場合も珍しくありません。熟練の織り手は設計図を使わず、頭の中のイメージを直接織り込むこともあります。技術力の高い織り手は限られているため、人件費も価格を押し上げる要因となります。
輸入・流通コスト
産地の山岳地帯から都市部に運び、洗浄や仕上げを行った後、輸出されます。その過程で輸送費や関税、検品費用が加わります。
また、羊毛や草木染めの特性上、防虫や湿度管理などの保管コストもかかります。さらにギャッベは一点物が多いため、在庫リスクも販売価格に反映されます。
希少性（工房・産地）
良質なギャッベを生産する工房や産地は限られています。同じサイズやデザインの再入手は難しく、一期一会の出会いとなることが多いです。
さらに織り手の高齢化や後継者不足により生産量は減少傾向にあります。そのため希少性が高まり、ギャッベは投資性のある「価値を維持する絨毯」としても注目されています。
まとめ
ギャッベが高い理由は、単なる装飾品ではなく「素材・技術・流通・希少性」の全てが揃った工芸品だからです。価格の背景を知ることで、その価値を正しく理解できます。
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