絨毯辞典
ヘイバトルー文様
ヘイバトルー文様はペルシャ絨毯に用いられる特定のデザインの名称で、自然からインスピレーションを受けたシンプルながらも古くから存在するオリジナルのパターンの一つです。この文様の特徴は、小さい円形の装飾や大きな角部分であり、その中には細かな幾何学模様が施されています。このデザインは、その名前が最初につけられた町や村、部族から名づけられており、ペルシャ絨毯の中でも特に古く、有名なパターンの一つです。ヘイバトルー文様は、カシュガイ族のキリムという種類の平織り布に特によく見られるデザインで、大きな六角形と小さな幾何学模様が特徴です。デザインは非常に精緻でありながら、下絵を使用せずに織られています。ペルシャ絨毯のデザインには主に四つの種類があり、ヘイバトルー文様はその中の「メダリオン」と呼ばれるカテゴリーに分類されます。
シェイク サフィ デザイン
シェイク・サフィのデザインは、花のような豪華で大きなメダリオンを中心に、上下に吊りランプを配置し、コーナーにメダリオンを4分割した文様を施しており、「シェフ・サフィ・デザイン」と呼ばれています。サファヴィー王朝の祖、シェイク・サフィアルディンは1334年に85歳で亡くなり、彼の廟はカスピ海西岸のアルデビルに建立されました。17世紀には、シャー・アッバース1世として知られる名君が1610年代にアルデビルを訪れ、荒れ果てたシェイク・サフィの廟を修復しました。彼はコーラン、絨毯、中国の磁器などの貴重な私財をこの廟に献納しました。このような献納行為は「パグフ」として知られ、宗教的な善行として認識されています。シェイク・サフィの時代に作られたペルシャ絨毯の中で特に注目されるものが、アルバート美術館(イギリス)に所蔵されているアルダビールカーペットです。この絨毯は1539年にアルダビールのシェイク・サフィ・アッディン・コンプレックスに贈られ、ペルシャ絨毯を代表するものとなりました。デザインにはシャー・アバス植物や神聖さを象徴する濃紺色、ベルガモットの太陽光を象徴するデザインが特徴です。この絨毯は、16世紀半ばにシャー・タフマスブによってアルダビール神殿のために委託され、サファヴィー時代の豊かな文化と精神的遺産を反映しています。
カシミール
カシミール地方は、インド、パキスタン、中国の3つの国にまたがる地域で、その政治的・地理的位置から長年にわたる紛争の中心となっています。地域の大部分はインドとパキスタンによって支配されており、各国はこの地域に対する主権を主張しています。カシミールはその美しい自然や伝統的な手工芸品、特にカシミール・ウール(カシミール織)で知られています。しかし、国際的な緊張と地域の政治的不安定がこの地域の発展を妨げています。カシミール問題は、インドとパキスタン間の関係において重要な問題であり、両国間の紛争の根源となっています。また、中国も一部のカシミール地域を支配しており、この地域に関する主張もしています。
バルーチ
バローチ族は、西ペルシャの起源を持つ民族で、主にパキスタン、ペルシャ、アフガニスタンのバローチスターン地域に住んでいます。中央アジアやアラビア半島にも彼らのコミュニティが散らばっています。この族の歴史には、他の部族がバローチの体系に溶け込むことがよくあり、そのため現在のバローチ族は多様な背景を持つ人々で構成されています。彼らの大部分はパキスタンに住んでおり、その中でも50%がバロチスタン州、40%がシンド州にいます。パンジャーブ州にも少数が住んでいます。パキスタンの全人口の3.6%、ペルシャとアフガニスタンの約2%がバローチ族です。バローチ絨毯は、この民族がアフガニスタンやペルシャ東部で織るものです。これらの絨毯は、多様なデザインや特有の斜めのモチーフが特徴です。また、複雑な幾何学的デザインが迷路のような形になっているものもあります。
フローラル
フローラルデザインは、特に都市で製造される伝統的なペルシャ絨毯でよく見られ、16世紀からペルシャ絨毯に現れるようになりました。このデザインは、花のモチーフと曲線的なパターンを組み合わせています。 ペルシャ絨毯のフローラルデザインには2つの主要なタイプがあります。1つは「メダリオンフローラル絨毯」で、中央に大きな花のメダリオンがあり、伝統的なペルシャ絨毯で一般的です。もう1つは「オールオーバーフローラル絨毯」で、中央メダリオンがなく、絨毯全体に花のモチーフが広がっています。 これらの絨毯は部屋の中心的な要素として使用され、インテリアデザインに魅力を加えます。メダリオンフローラル絨毯は通常、部屋や家具と中心に配置され、オールオーバーフローラル絨毯は部屋のどこにでも配置できます。 フローラルデザインのペルシャ絨毯には花のサイズや枝の太さなどの特徴があり、それぞれ異なる使い方があります。