タブリーズ
種類:ペルシャ絨毯
場所:イラン北西部、アゼルバイジャン州の都市(旧ペルシャ)
ノット密度:約30~110ラージ(7cm幅あたりの結び目列数・産地の慣用単位)。1平方メートルあたりに換算するとおおよそ180,000~2,500,000ノットが目安です
特徴:高密度の結び目、代表的なヘラティ(マヒ)柄のほか、中央メダリオンや花柄モチーフなど多彩なデザイン
素材:高品質なウール(コルクウール)、シルク混
タブリーズ産のペルシャ絨毯は、イラン北西部アゼルバイジャン地方の都市タブリーズで織られる高級手織り絨毯です。その緻密な織りと美しいデザインにより世界的に高く評価されており、ペルシャ絨毯の五大産地の一つとして知られています。タブリーズは古くから絨毯織りの中心地として発展し、現在では世界工芸評議会(WCC)によって「世界絨毯織り都市」に選ばれるほどの名声を誇ります。
代表的なデザイン
タブリーズ産絨毯は実に多様な文様を持ち、「デザインの宝庫」とも称されます。中でもタブリーズならではの代表格が、次の二つです。
・ヘラティ(マヒ)柄 – 菱形の小花と4枚の葉が連なる連続文様。葉が魚のように見えることから、ペルシア語で魚を意味する「マヒ」とも呼ばれます。タブリーズはこの柄で特に有名です。

・タブロー(絵画絨毯) – 絵画や写真のような図柄を織りで忠実に再現する、タブリーズ名物ともいえるジャンル。高いノット密度があってこそ可能な芸術性の高い作品です。
歴史
タブリーズは古くから東西交易の要衝として栄えた高原都市で、14世紀にはモンゴル系イル・ハン国の首都、19世紀にはイランの商業の中心地となりました。絨毯織りの芸術は16世紀のサファヴィー朝時代に最盛期を迎え、王侯貴族の工房で数多くの傑作絨毯が織られました。
19世紀後半には、一時衰退していたペルシャ絨毯産業がタブリーズの商人たちの尽力により復興します。欧米市場の需要に応えて他地域に先駆けて新しいデザインや色使いを取り入れ、イラン各地の産地の再興を先導しました。伝統工芸に革新をもたらし続けてきた都市、それがタブリーズです。
その伝統は今も街の中心に息づいています。世界最大級の規模を誇るタブリーズの歴史的バザールは2010年にユネスコ世界遺産に登録され、その一角の絨毯バザールでは現在も盛んに絨毯の取引が行われています。
ノット密度(織りの緻密さ)
タブリーズでは織りの細かさを「ラージ(Raj)」という単位(7cm幅あたりの結び目の数)で表します。一般的な絨毯で約30ラージ、上質なもので50~70ラージ、最高級品は約110ラージに達します。1平方メートルあたりに換算するとおおよそ18万~250万ノットが目安です(縦横同程度の細かさと仮定した概算)。
結び目が多いほど細密な模様表現が可能になりますが、品質は密度だけでなく素材・デザイン・仕上げを含めて総合的に評価されます。またこの地方の絨毯は、摩耗に強いトルコ結び(左右対称の二重結び)で織られます。タブリーズの織り手はかぎ針状の道具を使って素早く確実に結ぶ独特の技法を受け継いでおり、高い密度と相まって非常に目が詰まった丈夫な織り地となっています。
素材と耐久性
素材には、子羊から採れる柔らかな上質羊毛「コルクウール」を主体に、光沢のあるシルクを文様のアクセントや全面に用い、経糸には丈夫な綿を使うのが一般的です。堅牢な構造と高い結び目密度のおかげで耐久性に優れ、適切に手入れすれば世代を超えて受け継がれる「一生もの」の絨毯として、リビングや玄関など日常の空間で長く活躍します。
「アラ・ダグ・ラル」(カラフルな山々)
ブルーモスク
画像:エル・ゴリ公園(タブリーズ) © Elmju / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons