絨毯の種類と産地
同じ「手織り絨毯」でも、国・産地ごとに織り・色・文様の個性は大きく異なります。気になる種類や産地から、詳しい解説ページへどうぞ。
ペルシャ絨毯イラン(旧ペルシャ)。産地ごとに織り・色・文様の個性が際立つ、手織り絨毯の本流です。詳しく見るパキスタン絨毯ラホールを中心に、ペルシャの意匠を受け継いだ精緻な柄と艶やかな発色が魅力です。詳しく見るアフガニスタン絨毯濃い赤地に八角形のギュル文様。トルクメンやウズベクの人々が織る重厚な意匠です。詳しく見るギャッベ遊牧民が手結びする厚手のウール絨毯。素朴な動植物の文様とふっくらした毛足が特徴です。詳しく見るキリム毛足のない平織りの織物。緯糸と経糸で色面の幾何文様を表す、軽やかな敷物です。詳しく見る産地ガイド — 世界の手織り絨毯
産地ごとの織り・色・文様の個性を、グループ別にまとめました。気になる産地から詳しい解説ページへどうぞ。
そのほかの種類
毛足のあるパイル絨毯(ギャッベなど)と、毛足のない平織りのキリムが大きな2分類です。アフガン産のスマックは色糸を巻いて柄を浮かせる、立体的で厚みのある織りです。
技法ガイド — 結び・密度・素材・染め
一枚のペルシャ絨毯は、結びの種類・織りの密度・素材・染めの掛け合わせで表情が決まります。商品ページの言葉をより深く味わうための基礎用語をまとめました。
ペルシャ結び(非対称結び)
一本の経糸にパイル糸を絡める結び方で、セーナ結びとも呼ばれます。曲線をなめらかに描けるため、花やメダリオンの優雅な図柄を得意とします。イスファハンやクム(Qum)など、繊細な意匠の産地に多く見られます。
トルコ結び(対称結び)
二本の経糸にまたいで結ぶ方法で、ギョルデース結びとも呼ばれます。きりりと締まり、直線的な幾何学模様と相性が良いのが特徴です。タブリーズ以西やコーカサス圏の意匠に多く用いられます。
ノット密度(ラジ/ヘフト)
一定の幅に結び目がどれだけ並ぶかを示す指標で、数値が大きいほど目が細かくなります。ラジはタブリーズで使われ、7cm幅に並ぶノット列数を数えます。イスファハンではヘフトという単位を使い、絨毯裏側の房(フリンジ)と毛足の間に等間隔で入る色違いの縦糸(目印の線)を数えて、織りの細かさを表します。一般に1mあたりおおむね7〜16ヘフトの範囲で、数が多いほど高密度です。密度は都市工房の精緻さを語る目安で、部族・ビレッジのトライバル絨毯は密度ではなく意匠・色・素材で価値を見ます。
素材(ウール/シルク/コットン経糸)
ウールは呼吸して湿気を調え、踏んでも戻る弾力と深い発色を持つ主役の素材です。シルク(絹)は光を受けて和らかに輝き、しなやかな手触りと退色しにくい強さが魅力。土台となるコットン(綿)の経糸は寸法を安定させ、形を長く保ちます。
シルクタッチ(絹のような光沢のウール)
シルクタッチはウールの一種です。ウールを丁寧に処理・ブラッシングして、絹のような光沢と柔らかく厚いパイルを引き出したもので、絹(シルク)ではありません。パキスタン絨毯のジャルダールなどで見られる、しっとりと艶めくウールの質感を指します。
グレード「ファイン」
織りの細かさや仕立ての精度が高い、上質な一枚を表すグレードです。撚りの本数が少ないほど目が細かくなり、こうした緻密な織りがファインと呼ばれます。ナインなど都市工房の精緻な絨毯で用いられる呼称です。
天然染料
赤は茜やコチニール、黄は飛燕草やウコン、青は希少な藍を染め重ねて生み出します。精錬・染色・洗いを経て染めだけで一週間以上を要します。天然由来の色は深みがあり、暮らしのなかで使い込むほど足もとに色が馴染んでいきます。
フリンジ(房)
絨毯の両端に出る経糸(縦糸)の房のことです。パイルや平織りの部分の先で、土台となる経糸がそのまま現れたもので、ほつれを防ぐために束ねたり結んだりして整えます。手織りでは土台の経糸がそのまま房になり、左右の短辺に対称に現れます(長辺の縁は「耳(ミミ)」と呼ぶ別の部分です)。
ペルシャ絨毯の文様辞典
ペルシャ絨毯に織り込まれる代表的な文様を、形と意味の両面からやさしく解説します。一枚を選ぶとき、構図やモチーフの名前を知っておくと見方がぐっと広がります。
メダリオン
絨毯の中央に大きな円形や楕円形を据える、最も親しまれた構図です。写本装丁の意匠から発展し、サファヴィー朝期に絨毯の中心構図として広まったとされます。四隅にコーナー文様を添えた「メダリオン・コーナー」が代表的な形です。
ヘラティ(マヒ)
小さな魚を思わせる形が連続する、上品な総柄文様です。「マヒ」はペルシャ語で魚を意味します。家庭の平和と幸福を象徴するとされ、タブリーズやビジャーなどで好んで織られます。
ボテ(ペイズリー)
先端がくるりと曲がった勾玉形のモチーフで、英語ではペイズリーと呼ばれます。一面に敷き詰めたり、ボーダーに連ねたりと用い方はさまざま。起源にはイラン説・カシミール説など諸説あり、ここでは断定しません。上向きにとがる糸杉とは別の文様です。
ゴル(ギュル)
菱形をした紋章的なモチーフで、トルクメン系の絨毯に多く見られます。部族ごとに固有の形があり、部族のしるしとして織り継がれてきました。力強い赤地に映える、幾何学的な味わいが魅力です。
生命の樹/糸杉
枝葉を豊かに茂らせた樹木を描く文様で、生命・豊穣・長寿といった願いが込められます。すらりと上向きにとがる糸杉も生命の樹の一種として表され、勾玉形のボテとは姿が異なります。
ボーダー(縁取り)
フィールド(中地)を囲む帯状の枠で、絨毯全体を引き締める役割を担います。かに文やS字文、走る犬など連続するモチーフで構成され、太い主ボーダーと細い副ボーダーを組み合わせるのが一般的です。